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そこから先彼らが何を言っていたのかは僕には聞こえなかった。
それはまるで世界に取り残されてしまったような気分に思えた。
この結末を選んだのは自分自身そう考えると結局のところ自業自得、この気持ちに終止符を打とうとさえ思え机に置いてあったケータイを取り出しメールの保存ボックスに大事に取ってあった一通のメールを開く。
「ケイくんと過ごせたこの一年は私の中でとても大切な思い出です。ケイくんが押してくれた私の夢、その夢を叶えるために明日出発します。何年かかるか分かりませんが・・・・・・待っていてくれますか?」
そのメールこそすみれとの最後のやり取りであり、僕は自分に勇気が持てず彼女にメールの返事さえ送ることが出来なかった弱虫者。
そして僕は九年前に送ることが出来なかった未だに未送信ボックスにある保存されていたメールを遂に削除する決心を固め、削除した。
その内容は「いつまでも君をここで待つ」と書かれていた。
ピンポーン
時刻は九時を回っているというのに部屋の前に誰かが来る音がした。
誰か分からなかったがその時の俺は気が動転していたのだろう扉の前の誰かを確認もせずに開くと扉の前にはここに居るはずのない人物が立っていた。
「逢いに来たよケイくん」
その光景に僕は声が出なかった。
それを見た彼女の次の言葉は
「あなたを心の底から愛しています」
~Fin~
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