問題は日常的につき

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「急に追加依頼じゃなくて今回の依頼に含まれていたんだ――って感じ、かな?」  彼の言わんとしている事を言い当てたビビッド。リオは「そうなんだよぉぉ」とカウンターに顎を乗せ、項垂(うなだ)れる様に頭を左右にゆっくりと振る。その度に揺れ動く頭髪は何とも言えない魔性の魅力があり、ビビッドは思わず彼の頭を撫でてしまった。  ――瞬間、やってしまったと思った彼女だったが、意に反してリオの抵抗はなく成すがままに可愛らしい唸り声を上げている。  こういう事が許されるのは現在のリオの心境が最も大きくかかわっているのだが、それ以前にリオとビビッドとの間にはそれが許される絆とも呼べる関係があるからに他ならない。しかし、これに関しては後日談で良いだろう。  話は戻り、リオが今回受注した依頼についてだが、内容はシンプルに討伐ものである。簡単に説明するのであれば、村の近くに住み着いた〝マンバベア〟二頭の退治。報酬は一〇万チェリルと言ったところ。  討伐依頼のランクにしてA。上から数えると四番目の難易度となる依頼だ。因みに依頼の難易度や冒険者のランクは上からEx・S・A・B・C・D・E・Fとなっており、両者最も多いのがCランクになっている。一番少ないのは言わずとも知れたExだ。  本来、リオの受けた依頼は報酬金額が倍あっても可笑しくないものだったのだが、村の都合上出せる金額が一〇万までと少なく、誰も受けようとしないものだった。しかし、偶々暇を持て余していたリオが気まぐれで受注し、報酬金はあれば貰うし無いなら無いで別にいいというスタンスで向かってくれたのだ。恐らく、その様子を見た依頼主がしめしめとリオの優しさに付け込んで無理難題を吹っ掛けたのだろう。  そりゃ怒るわな、と溜息を吐き出したビビッドは、名残惜しさをグッと堪えてリオの頭から手を離した。
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