問題は日常的につき

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「それじゃ、報酬はどうする? いつもと同じでいいの?」 「うん。僕んとこには二割でいいよー」  顎を上げたリオは眠たそうに眼を擦り、返事と共に首を縦に振った。  彼らの言う〝いつもの〟とは、報酬金額の内八割をリオがお世話になっていた孤児院に配送し、残り二割をリオの貯金口座に振り込むといったものである。基本的にこのやり取りはビビッドとの間でしか行われず、そういう決まりは無いのだがいつの間にかリオの担当受付はビビッドという形が定着してしまった。だから彼女がリオを多少子ども扱いしても――という話に繋がる。  その後、リオは大きなあくびを繰り返しながら去って行き、ビビッドはまたしても暇を弄ぶことになった。  現在、既に日は傾き始め、此処からは依頼完了処理か加入脱退手続きしかやることが無い。例外はあれどそんなのは時偶だ。  ビビッドは大きなあくびを一つかまし、リオから移ったのかな、と小さく微笑んだ。  彼女の脳裏にはいつまでのリオの可愛らしい表情が張り付いており、いつだって彼の事を考えている。今は何しているのかな、や今日の依頼は簡単そうだけど心配だな、等々。  そして、今彼女の脳裏を埋め尽くしているのは――。 (あんな可愛い顔して、この国に三人しかいない――Exランクなんて。この世もまだまだ面白い事が溢れてそうだな)  相も変わらず彼の事であった。
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