非コミュ

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非コミュ

 四方八方低反発な部屋に閉じ込められて、かれこれ二週間が経過した。最初の頃は歩くたびに足が沈んで、その感覚になかなか馴染めずにいたけれど、今はすっかり慣れて心地よささえ感じる。先人は上手いことを言ったものだ。  ――住めば都。  体育座りをして、手の甲の青筋を見つめていると、ミルが隣に擦り寄ってきた。 「なに見てんの?」 「これ」  浮き出た静脈を指差して答えると、ミルが「何が面白いの?」と訝しげに眉をひそめた。 「だって静脈が浮いてるってことはさ、そんだけ肉がなくなったってことじゃん。嬉しいから見てんの!」  喋っているうちにエキサイトしてきた。どうせ元々痩せてる人には私の気持ちなんて分らない。肥満体の人間には、手の甲にももちろん肉がついてて、静脈なんて見えないのだ。 「嫌なこと思い出させないでよね」 「ちょっと聞いてみただけじゃん、急に怒られても困る」  ミルが不満そうな目をして応酬してくる。     
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