非コミュ

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 自殺未遂が発覚すると、この国では年齢問わず処罰される。最近そういう法律ができてしまって、自殺するのにも一段と注意が必要なのだ。自殺に成功すれば「殺人罪・被疑者死亡」で書類送検されるだけだが、自殺未遂となると始末が悪い。「殺人未遂」で逮捕され、刑務所行きになる。だから、私が自殺をしようと思ったときは、そりゃあ考えた。ネットで調べに調べた結果、母親が常用している鎮痛剤を大量に飲んで死ぬことに決めた。致死量を確実に飲んだ。なのに私はなかなか死ねず、トイレで嘔吐しているところを母親に発見されてしまい、そのまま病院送り。そして、多分病院にはバレたはずだ。自殺目的によるオーバードーズだって―― 「ここは刑務所なのかな」  ベッドに横たわりながら、私は独り言を言った。周りは誰一人いなく静まり返っていて、自分の声が木霊する。天井はクリーム色で、私の部屋とは全然違う。私の部屋の天井には、ハリウッド・スター「トム・クルーズ」の年季の入った特大ポスターが貼られているのだ。そのトムの顔を見ながら私は一人エッチをすることがあって、居間でテレビを見ているときにトムが出てきたりすると、ドキドキしてテレビから目を逸らしてしまったことがある……と不埒なことに思考が脱線。頭をふるふると振り、ここがどこだか考え直す。  牢屋だったら、こんなに寝心地の良い低反発ベッドに寝かされることはないだろう。それに独房にしては部屋が広すぎる。見た感じ六畳以上はありそうだ。でも窓がないのは刑務所っぽい気がする。でも空調がちゃんと効いてる。牢屋は「夏は暑く冬は極寒」という盆地的なイメージがある。 「自分の部屋ではない、刑務所でもない、それじゃあここは……?」  訥々と独り言を続けていると、お腹がぐーっと鳴った。右腕にはまっている腕時計を顔に近づける。 『4・20 AM8:00』  と表示されている。     
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