12人が本棚に入れています
本棚に追加
とりあえず白い綺麗な冷蔵庫にまっすぐ向かう。急に猛烈な食欲に襲われたのだ。
「勝手に食べちゃうけど……」
口の中で呟いて、私は冷蔵庫のドアを開けた、が何もなく、落胆する。閉じようとして違和感を覚えた。空っぽの冷蔵庫の中に手を入れて見ると、冷気が一切感じられなかった。照明も点かない。電源が入っていないのだ。
冷蔵庫の外観を改めてよく見てみる。汚れが目立つ白なのに、取っ手には手垢が全然ついていないし、新品ならではの無機質なにおいもする。
「誰も……いないのかな」
ごそごそとキッチンの中を見てまわる。イチゴポッキーがあったら良いな、食べたい……なんて暢気なことを考えつつ、シンク下の引き出しをくまなく開けて見るが、ポッキーどころか食べ物の一つ出てこない。がっかりして、ぼんやり部屋の中を見渡して見ると、キッチンに続く広い居間のようなスペースの床に、みかん箱サイズのダンボールが一つ、無造作に置かれていた。あまり期待せず、私はその段ボール箱の封を開けた。
その中に、SOY―JOYはあった。
最初のコメントを投稿しよう!