0と1

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目が覚めると、いつもと同じ朝がそこにはあった。  いつものように、目覚ましに起こされ、眠い目を擦りながら二階の自室から階段を降り、顔を洗う。 台所をあけると、フワっと甘い卵焼きの匂いが漂ってくるはずだ。我が家の卵焼きは、甘みが強く、砂糖のせいか、少し焦げ目がついている。焼き魚とみそ汁、小さな小鉢に入ったほうれん草のおひたし。  父が和食派なので、我が家の朝ごはんはだいたいこんな感じ。たまに休みの日には、遅くまで寝ている父抜きで、喫茶店で食べるモーニングのようなメニューが並ぶこともある。  だけど、今日は違う。何かが違う。これは、我が家の匂いではないと感じた。 「おはよう、零。顔は洗った?」 母が満面の笑顔で振り向いた。その笑顔に違和感があった。母はこんなふうに笑う人だっただろうか。 何かがおかしい。 「うん。」 俺はそれ以上は言わず、食卓につくといただきますと手を合わせた。 「おはよう。」 俺が一番不思議に感じたのは、そう言いながら当然のように俺の隣に座った双子の弟の存在だった。 俺がじっと見つめていると、そいつは怪訝な顔をした。 「何だよ、じっと見て。俺の顔に何か着いてる?零にい。」 「いや、別に。」     
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