オガトト

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オガトト

「みなさーん、こんにちはっ! 心臓ドキドキ、鳥肌ゾクゾク♪ オガトトの時間でーす!」 華やかな音楽とハイテンションなトークで、今週もまたオガトトの当選発表が始まった。 オガトトというのはオーガントランスプラント、つまり生体移植用の臓器が当たるクジのこと。 生体移植が本格的に始まったのは、いまから20年ちょっと前。しかし当時は臓器提供者が少なく、2年待ち3年待ちは当たり前だった。結局ドナーが見つからないまま患者が死んでしまう、ということも珍しくなかった。 「ではまず、皮膚からいってみましょう! ……はいっ、S組末尾322、S組末尾322です。当選した皆さん、おめでとうございます!」 そこで始まったのが、このオガトトだ。 オガトトは、臓器移植を望む人が部位別のクジを買う。一人何枚買ってもOK。外れたらパーだけど、当選すればたたちに移植を受けられるという単純なもの。 「続いて角膜です! 角膜は相変わらず人気が高いですよね。はいっ、では番号の発表です。C組末尾885、C組末尾885ですっ。当選した皆さん、おめでとうございます!」     
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