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こいつ、タダモノじゃない……ヤバイ感じがする。変態か。変人か。どっちもか。
「まぁ、分からんでいーですよ。実物見たほうが早いやろうし。そっから、ちゃあんと説明しますし」
言いながら男は、ソファまで来るとポケットから名刺を出してあたしに寄越した。
「代行屋 天萬、所長の清水原です。今回は、とある人から頼まれて、君を追いかけてました」
「はぁ……」
ご丁寧にどうも。
名刺は素っ気ない白地で黒い明朝体が並ぶだけ。
代行屋 天萬ねぇ……聞いたことないわ。胡散臭いレベルが大幅に跳ね上がる。
あたしは名刺をつまんだまま、じっとりと清水原を見上げた。
「で、なんなん? あたしを追っかけ回して。警官にまでなりすまして」
彼はソファの背に座ると、何も応えずおもむろにあたしの背中を叩いた。
バシーンッ!! と音がしたあと、ビリビリと痛みが走る。悲鳴が喉の奥で止まり、声も出せなくなる。
「おっと、やりすぎた」
「……っ! 何すんのよ! 急に! マジで、おまっ、ほんと、なんなんっ!!」
「何って、お祓い」
当然とばかりに言う清水原。
「見たほうが早いし、こういうのは隙きを突いてやらんと」
「だけんって、急に叩かんでよかろうが!」
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