第一幕:【博多】代行屋と流浪な猫/1話

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 こいつ、タダモノじゃない……ヤバイ感じがする。変態か。変人か。どっちもか。 「まぁ、分からんでいーですよ。実物見たほうが早いやろうし。そっから、ちゃあんと説明しますし」  言いながら男は、ソファまで来るとポケットから名刺を出してあたしに寄越した。 「代行屋 天萬(てんま)、所長の清水原(しみずはら)です。今回は、とある人から頼まれて、君を追いかけてました」 「はぁ……」  ご丁寧にどうも。  名刺は素っ気ない白地で黒い明朝体が並ぶだけ。  代行屋 天萬ねぇ……聞いたことないわ。胡散臭いレベルが大幅に跳ね上がる。  あたしは名刺をつまんだまま、じっとりと清水原を見上げた。 「で、なんなん? あたしを追っかけ回して。警官にまでなりすまして」  彼はソファの背に座ると、何も応えずおもむろにあたしの背中を叩いた。  バシーンッ!! と音がしたあと、ビリビリと痛みが走る。悲鳴が喉の奥で止まり、声も出せなくなる。 「おっと、やりすぎた」 「……っ! 何すんのよ! 急に! マジで、おまっ、ほんと、なんなんっ!!」 「何って、お祓い」  当然とばかりに言う清水原。 「見たほうが早いし、こういうのは隙きを突いてやらんと」 「だけんって、急に叩かんでよかろうが!」     
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