第一幕:【博多】代行屋と流浪な猫/1話

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 ひどい日焼けをしたみたいに背中が痛い。こいつ、思いっきり叩きやがった。なんなのよ、まったく。ほんと、意味分からん……  イライラと背中をさすっていると、清水原があたしの目の前に何かをぶら下がった。清水原がつまむのはマスコットみたいな、つぶれたまんじゅうみたいな顔のおっさん(、、、、)が鼻の先にある。 「これね、(やく)って言うんですよねぇ」  伸びた小さなおっさんを指して言う清水原。 「君の背中にくっついてて、剥がそうにも剥がせんから、荒めにやらないかんくて。ほんと、ごめんね」  そう言って、彼は口元を引きつらせて笑った。目元が見えないから、表情はわかりにくいけど声音から申し訳なさは伝わってくる。 「……や、でも待って。まだ、ようと意味が分かっとらんのやけど」 「やろーね」  あたしの声に、今度は同意してくれる。どうやら社会的一般知識はあるらしい。怪しさ満点なヤツだけど、口調はずっと穏やかで、彼自身も何か戸惑いの節があるようだ。 「あー、そっかぁ……君は神さまを見たことがないんですね」  小さなため息がおっさんの毛をそよがせる。厄、とやらは気を失っており、まるで物言わぬ人形。それを目の当たりにしてもあたしは何がなんだかさっぱりで、とにかくここは黙って清水原の与太話に付き合ってみようかと考えていた。     
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