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清水原は小さなつぶれまんじゅうを手のひらで転がしながら、重い口を開いた。
「まぁー、なんと言うか……君は、神さまって信じる?」
やにわに何を言い出すのやら。
あたしは首を横にブンブン振る。
「神頼みとか、しない? 占いとか。明日の運勢気になるなーくらいはあるんじゃない?」
そう言われてみればそうかも。
途端に身近なものに思えてきたのでゆっくり頷く。すると、清水原は少しだけ口をゆるめた。
「神って言ったらなんか厳かに聴こえますよね。でも、そう大層なものじゃなくて、万物には神が宿ると言うし、実際、神は道端にゴロゴロいます」
「………」
なんかまた怪しくなってきた。あたしは「はぁ」と気のない返事をする。
宗教の勧誘みたいだなぁ……あー、あたし、面倒なヤツに目をつけられたんだな。最悪。高い壺買わされそう。家だってまだないのに。
顔を手のひらで覆っていると、清水原は怪訝に「大丈夫?」と言ってくる。「大丈夫、続けて」と後を促せば、彼は気まずそうにまた言った。
「あぁもう、何を言っても怪しいなぁ……どうしよ……」
自覚があるようで何よりだ。
「確かに厄じゃ、信用するのも無理ある――あ、そーだ」
彼は少し声を高く上げると、ソファの背から離れた。
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