第一幕:【博多】代行屋と流浪な猫/2話

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「いや、いますよ。そこに。ここの主神である倉稲魂命(うかのみたまのみこと)がね」  そう言い、彼はクスリと笑った。あたしはじっとりとした目で睨む。 「そこにいる、と思えば(、、、)見えます」 「はぁ?」  なにが見えるって言うんだよ……と、言いかけて息を止める。 「あ、見えた? やっと目が合ったねぇ。こんちは、お嬢さん」  目の前に、つややかな白肌の男の子がいた。それは清水原ではなくて、て言うか清水原はその横で笑ってるだけ。突然現れた第三者にあたしの頭は追いつかない。 「はじめまして。僕は倉稲魂命。ウカちゃんって呼んでね」  彼は人懐っこそうな笑みを浮かべてあたしの手を取った。  白いスーツに髪の毛は金に近い茶色。  なんだか…… 「ホスト……?」  第一印象はそれだった。キャッチのお兄さんみたいな。中洲にゴロゴロいるよね、こういう人。 「うん、よく言われるー」  この自称、倉稲魂命は面白そうに言うと、あたしの手を取ったまま離してくれない。 「ねぇ、清水原くん。この子、あれだよ。『神好み』ってやつだよ。いい匂いがする」 「あー、なるほど。だから厄がへばりついとったん。納得」 「ちょっと待って」  あたしを置いて話が進んでいくのはいただけない。内容が読めない。     
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