第一幕:【博多】代行屋と流浪な猫/2話

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「あの、要するに、この人は正真正銘、神様ってこと、なの?」  自分で言って恥ずかしくなる。  神だなんて。そんなのいるわけ…… 「そうだよ」  手を握っていた自称、倉稲魂命がサラリと言う。 「もう、清水原くん、回りくどいことやめて見せてやりゃいいじゃん。『神好み』ってことはもうどのみち神様から逃げられないんだし」  もどかしげに言う神様。対し、清水原は口をへの字に曲げて渋っている。 「うーん……まぁねぇ……どっちみち大黒さんに引き渡すつもりやったし、うん、そうしようか」  まとまったらしい。  しかし「引き渡す」ってなんかまた不穏なワード……思わず後ずさる。でも、それは許されない。清水原はあたしの手をすばやく掴んだ。 「言うの忘れてましたね。厄をくっつけた君は神様にとって害悪。君のことはダイコクさんに処理してもらうつもりだったんです」  赤い舌がチロリと見える。その不気味さには逆らえない。固まったままでいる。それまで柔らかで和やかだったのに、この空間だけ温度が下がったよう。  怖い――とっさに、そんな言葉が脳裏をよぎった。  その時、ぐるんと素早く体が一回転する。背負投げされたような空中浮遊のあと、あたしは清水原の肩に担がれていた。 「は? え?」     
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