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「うん。人生最高に清々しい気分だった……まあ、私が死んだ後のことなんだけど」
「ふーん」
いたいけな少女は歳不相応に薄く笑った。興味がないらしい。
「ミチル、梅のお話の方が好きー」
さらには話を変える暴挙を起こす。
「ああそうだった、ミチル姫は梅のお話が好きでしたねぇー」
ミチルの機嫌を取るべく渾身の猫なで声で言うも、彼女はツンとするばかり。仕方なしに彼女を抱えあげると、彼は外に立つ梅の木を窓越しに眺めた。
「では、飛梅の話をしよう。ミチル姫のご所望とあらば、何度でも」
頬をくすぐるように、彼は彼女の耳元で囁く。すると、幼い真っ赤な唇は笑みを浮かべる。
姿形はラフな白シャツにパンツスタイルという風貌だが、かつては波乱万丈に生きた平安貴族――彼こそが天神として祀られる菅原道真だ。
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