萌えのためならば犯罪とは言わないのだ。

1/19
567人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ

萌えのためならば犯罪とは言わないのだ。

『会長、いい加減仕事してください。』 『っるせぇなー、俺様はまだ休憩中なんだよ、雫。犯すぞ。』 「……っ」 はぁ、尊い。今日も今日とて、生きててよかったぁ…。 心の中で神に感謝を捧げながら、俺はワイヤレスイヤホンに指をかけて徐々にボリュームを上げていく。時折ジジッと機械音が混ざるが音質には問題ない。聞き取れれば十分メシウマ案件。 最近の推しはやはり『会長×副会長cp』である。勿論逆でもあり寄りのあり。寧ろその展開こそ気になるってもんだ。 ニヤニヤと、俺は想像という名の妄想を膨らませていく。 「オラ、萌えのためなら犯罪ギリギリまでやってやるぜ!」 「…盗聴はギリギリどころか犯罪だぞ、紬。」 そう言って、クソでも見るかのような冷たい瞳で俺を見やるのは親友の『桐島 亮太(きりしま りょうた)』。俺、『椎名 紬(しいな つむぎ)』のクラスメート兼ルームメイト相手である。 切れ長の瞳に少しグレーがかった瞳と長い睫毛、真面目な亮太らしく髪は地毛の艶やかな黒髪。俺と違って整った美しい顔立ちと筋肉のついたスタイルのいい身体。特に指がすげぇエッチ!完全にタチ要員ですね、わかります。 まあ、こんなハイスペック人間と親友になったのも、ここ『私立桜ノ宮学園』という、超絶エリート&金持ちが集うこの男子校が完全寮制であり、たまたま同じ部屋に割り当てられたからなのだ。そうでもしなきゃ俺みたいな平凡腐男子な一般ピーポーと仲良しこよしなんてしているはずもない。 ……自分で言ってて悲しくなっちゃった。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!