萌えのためならば犯罪とは言わないのだ。

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『…そう言って下さったのは、貴方が初めてです。愛川く…いえ、望海。』 初めはきょとんと虚をつかれた様な顔をして忙しなく瞬きを繰り返しているだけだったが、次の瞬間、見るからに分かり易く、どんどん柔らかい表情になっていく副会長。 あーあー、嬉しそうな顔をしちゃってまぁ。親衛隊の子たち、こんな副会長様の顔を見ちゃったら失神しちゃうよ。召されてしまう。 そして、愛川君の方へ一歩近づいた副会長。 二人の距離がぐんと縮まり、ついに待ちに待った展開がやってきた。 そう、キッスである。 『…っん』 「──っ」 んんんん゛ん゛ん゛ん゛ん゙んん゙ん゙ッッ 尊い。 あまりの感動に鼻から何か垂れてきた気がするが、もはや気にならない。素晴らしい。 腐男子やっててよかった。 勿論、副会長はその後転校生くんに思いっきり頬を殴られて気絶してしまうが、そんなことはもうどうでもいい。ありがとう。 大変満足した俺は、ホクホクとした気分でビデオの録画を止めて、ふぅ、と息をつく…… 「って!!録画出来てないじゃん!!くそが!」 だが、録画ボタンは押されていなかった為、止めたどころか寧ろ今録画が始まったようだった。 ジーザス! ──キーンコーンカーンコーン タイミングがいいのやら、なんなのやら、校内にチャイムが響き渡る。 もうすぐ朝礼のようだ。急がなければ間に合わない。もう行こう、、 俺は悲しみに暮れながら、(それでもさっきの萌えを脳裏に刻みつけながら)仕方がなく、とぼとぼと学校へと足を進めた。
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