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「ボトルと一緒に置いてあったサンドイッチ! 捨てたでしょ?」
今日は燃えるゴミの日--。
多分、彼は生ゴミだと思い込んで捨てたのだ。
案の定--。
「ごめん、ゴミかと思った……」
やっぱり……。
「生ゴミをボトルの傍に置くわけないでしょっ! 今日のお昼に食べようと思って作ったのに……」
「……ああ、本当にごめん!」
申し訳なさそうにしていたが、私の気が収まらない。
「確かにビニール袋に入れておいたけどさ、ちょっと考えればわかるでしょ!」
我が家では三角コーナーを使わず、スーパーでお肉を買った時に入れた袋などを再利用して生ゴミ入れにしている。三角コーナーに溜めるより、毎日処分した方が衛生的だし、掃除も楽だから。
そういう意味ではサンドイッチを透明なビニール袋に入れて置いた私も悪いのだか。
「生ゴミかどうか、見ればわかるじゃん」
怒りで沸騰している私は止まらない。
「……本当にごめん。俺の弁当持って行っていいから」
その言葉に頭の奥で何かがぶちっと音を立てた。
「……そういうことじゃなくて!」
だいたい、そのお弁当だって私が作ったものだ。
思わず、はぁ~、と大きな溜め息がもれる。
「私、今日は保育園の保護者会で仕事は15時上がりの休憩ナシなの! 仕事しながら食べられるようにわざわざサンドイッチ作ったのに……」
そう。
いつもはダンナの分と自分の分と、二つのお弁当を作っている。
今日は休憩が取れない為、パソコンを打ちながらでも食べられるようにサンドイッチをあえて作ったのだ。
なのに……。
まったくわかってない。
「本当、ごめん」
大きなゴミ袋を見ると、生ゴミやタバコの吸い殻など、四日分のゴミ全てが一つにまとめられており……とてもここを漁ってサンドイッチを探す気にはなれない。
食材も、作る為にかかった時間も、労力も、全て『ゴミ』になってしまった。
「もういいよ」
納得したわけではなかった。
時計を見ると、もう仕事へ出掛ける時間で。
喧嘩している暇はなかった。
マグボトルとスマホをアネロのバックに入れると、最低な気分のまま、『いってきます』も言い終わらないうちに家を飛び出した。
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