サンドイッチ騒動

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「も~、聞いて下さいよ~」  電車に乗っても怒りが収まらず、職場に着くなり、同じ課の愛さんに今朝のサンドイッチの件を話した。 「ヒドイと思いません?」 「それは……ヒドイねー」  愛さんはゆったりとした口調で共感した後、少し考えてひと呼吸置いてから言葉を続けた。 「んー……でもそれって……ゴミ捨てだけじゃなく、ゴミの回収もやってる、ってことなのかな?」  口調とは裏腹の鋭い質問に、思わず次の言葉が詰まってしまう。 「…………そう、ですね」 「ダンナさん、偉いねー」  そう。  うちのダンナはゴミを集積所に持って行くだけではなく。 『名もなき家事』と呼ばれる、各部屋のゴミ箱からゴミを集めるところからやってくれる。 「うちなんてね、ゴミをまとめて玄関に置いておいても『持っていくの忘れた』って言って。ゴミ捨てすらしてくれないよ?」  同年代の愛さんのご主人はあまり家事をしないらしい。  今でこそ共働き世帯が増え、家事も育児も協力してくれる男性は増えたが。  私達の世代は家事は『妻』がやるもの、と思っている男性は多く、愛さんのご主人のような男性は決して珍しくない。  そういえば。  あのひともそうだった……。  ふと、思い出した。  思い出したのは……。  前の夫--。
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