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「とりあえず、メシ食おうぜ?あ、それとお前の分もあるぞ、酒」
「へ?酒?」
キョトンとフィオレオが目を丸くした。
それもそのはずで、普段、フィオレオは酒を飲まない。付き合いで時たま飲む時もあるが、そもそも強くないし味も好みではない。甘い味しか飲まないフィオレオはよく「お子様」とガットに言われていた。そのため、お酒が好きなガットはよくお酒を買うもののフィオレオの分まで買うことはあまりなかった。
ベッドの上に放り投げられていた深緑色の酒瓶をぐいぐいと勧められる。いつもと違うガットの態度に、フィオレオはゴクリと生唾を飲んだ。
(…なんかイヤな予感がする)
「あの…まだお昼ですし、ガットみたいに強くないんで、私は遠慮しま…」
「どうせオフなんだし、酔っ払ったって大丈夫だろ?」
「や、そうなんですけど…、ほ、ほら、お酒の味も私あんまり好きじゃないですし」
「これ、甘いぜ?チェルノの酒だってさ」
「あ、そ、そうなんですね…っ」
「ほら」
「え?~~っんむ!?」
言い訳がなくなってきたところで、ガットが瓶に口をつけたと思ったらいきなり後頭部を掴まれ唇を塞がれた。無防備な口の中にガットの舌と生ぬるい甘い液体が無理矢理流し込まれる。反射的にゴクリゴクリと飲み干してしまった。
しかし、すぐにはガットの唇が離れない。器用な舌が舌の裏や上顎を撫でてきて、ゾワリと背筋が震えた。酒ではなく、二人の唾液がたっぷりと混ざり合った頃、ガットの唇がチュポンとわざとらしく水音を鳴らして離れた。
「…ん、甘かったろ?」
「…はぁ…はい」
ガットの舌テクにうっとりして、フィオレオは酒瓶を手に取ってしまった。
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