三食目 愛を込めてぜいたく煮

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 樹里に急かされ、超特急で準備した陽菜子。人が多いところはいまだ苦手だが、拒否権は有りそうにも無い。母親の車を借り、二人はアルプラ、正式名称はアルプラザ。敦賀市内にあるただのショッピングセンターに向かった。  ある程度ウインドーショッピングをした後、一階のフードコートに寄った。  樹里は夏でもないのにアイスを食べ、陽菜子は自動販売機で買った缶コーヒーを飲む。もちろん全て陽菜子の奢りである。  黙々とアイスを食べる樹里に陽菜子は話しかける。 「それで本当の目的は?」 「何のこと?」 「樹里ちゃんが遊びに来るときは大抵少し落ち込んでいるときだから。自分より不幸な私を見て元気を出す。前にそう言ってたけど、よくよく考えると結構ひどい理由だよね」 「別にそれだけじゃないよ。陽菜子ちゃんの前なら自分を飾る必要が無いもん。飾ったって意味ないし」 「素が出せるとか、安心できるとか言えばいいのに。一言多いというか、毒があるというか。まぁ別にいいんだけどね。でも今日は落ち込んでいる風でもないし、何かほかの意図があるようにしか思えないから」 「意図って……何かひどいなぁ、その言い方」  陽菜子は警戒心マックスな目で年下のいとこを見るが、彼女はどこ吹く風と言った様子で気にもしていない。しかしその樹里のアイスを食べる手がパタッと止まる。 「まぁでも当たってるからなぁ。うん、白状すると、陽菜子ちゃんにお願いがあるの」 「お願い?」 「そう、お願い。聞いてくれる?」 「お願いってどういうお願い? とりあえずどういうお願いか聞かせてくれなきゃ、答えられないよ。聞かずにうんって言って、とんでもないお願いだったら困るし。言っておくけど、私、お金ないよ」
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