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今より数百年前、今は異界にあり、簡単に行くことの出来ない妖精の国は、人間の国と地続きだった。 そこは、水色の髪と瞳をした美しい、グラキエースという名の女王によって治められる、穏やかな国。 ある時グラキエースの元へ、一人の男がやって来た。テネブラムと名乗ったその男は、人間の国の王子だった。 テネブラムは言った。 『国を救うために、どうか力を貸してほしい』 グラキエースは答えた。 『よかろう。そなたに妖精王の祝福を与える』 妖精王グラキエースにとって、人間は可愛いものである。 長い寿命を持つ妖精たちと違い、その生は短い。しかしその中でも一生懸命生きる姿が、グラキエースは好きだった。 そんな人間が困っているのならば、と力という名の祝福を授けたのである。
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