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「こないだ、本家の整理をしたらしいんだが、他の兄弟がいらねぇ物を俺に持って来てさ。どうしようかと思ってたとこだし、お前に献上するにはちょうどいいだろ。俺だってな、ただで手伝ってもらおう、なんて考えちゃいない」 それはよい心がけ。わたくしの性格を、よくわかっている。 「それではありがたく。猪退治とは、まさか普通のではありませんわよね?」 首を傾げると、セズはうって変わって真面目な顔つきで頷く。 「ああ。魔獣だ。下級魔術師たちには怪我人も出ている。なんせでかいらしくて、手に負えなくなってきた。んで、俺が出ることになって、どうせなら、お前の手も借りようかと」 騎士団長のセズは、下級魔術師たちを纏める存在でもあるけれど、外に出ることはあまりない。 魔剣の主には、陛下の許可なくして宮殿の外には出られない、という誓約があるから。 軽い口調で言っているが、今回セズが出るのなら、それだけで重要任務になる。 「よろしくてよ。いただいた螢石の分は働きますわ」 わたくしがそう答えると、セズはほっとしたように笑ったのだった。
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