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2011
2011・3・18
ワタシはファイルとにらめっこをしていた。
何を隠そうワタシの本職は刑事だ。
とっくの昔に死んでいるから不死身だし?憑依することも出来るようになった。
あの精肉工場をマークするために派遣社員として潜入していた。
ファイルには指名手配犯の写真が貼られてある。
ルーペで犯人の目を拡大する。
どんなに年月が経っても目だけは変わることがない。こうゆう作業を『見当たり捜査』という。
カーチェスやドンパチだけが刑事の仕事じゃない。
ワタシが勤めるのは西港警察署刑事課強行犯係だ。赤瀬署とはライバル同士だ。
西港市は海がキレイな小さな街だ。
「瞳、巡回に行こうぜ?」
相棒の石川一馬が言った。
彼は27歳だ。身長が190センチもあり、ガタイがいい。
「うん」
「問題を起こさないでくれよ?」
言ったのは立山慶介、25歳だが既に警部。強行班係の係長だ。キャリア組で東大法学部卒だ。ワタシと一馬は巡査部長。
ワタシはカチンと来たが、必死にこらえて「分かりました」と作り笑顔で言った。
署を出ると、鼻息を荒くしながら一馬が「いつかぶん殴ってやる」と言った。
「まぁまぁ」
「俺たちより2つも年下なんだぞ?悔しくねぇのか」
「仕方ないよ、あったの方が階級上なんだから」
「東大卒だからっていい気になりやがって」
時刻は3時を回るところだ。
2人は西港駅東口の商店街を歩いていた。
ビール工場の煙突がモクモクと煙を吐いていた。
2人はゲームセンターに入った。こういったゲーセンやパチンコ屋は逃亡者の隠れ蓑になりやすい。
UFOキャッチーに格闘ゲーム、プリクラ…………カップルや大学生とおぼしき若者で賑わっている。
一組のカップルに凶悪な面構えをしたソフトモヒカンの男が近づいてケンカをふっかけた。
「兄ちゃん、俺をバカにしてんの?」
カップルの男の方がゲームの手を止める。ドラムゲームをやっていたようだ。
「何だよ?人の邪魔しやがって」
「イチャイチャ目障りなんだよ!」
ソフトモヒカンが凄んだ。
「あんたには関係ないだろ?」
「てめぇら学生か?」
「そうだけど?」
「いい身分だな?」
「バイトで稼いだ金だ、何に使おうと俺の勝手だ」
「ねぇ行こうよ?」
清楚な感じの女が震える声で言った。
「待たんかい!楓組にケンカふっかけて無事で帰れると思ったんかい?」
男は楓組の若衆、灰野憲吾だ。
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