1977

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1977

 1月3日午後11時半ごろ、男子高校生が、アルバイト先から朱雀町にある宿舎へ戻る途中、公衆電話に置かれていた、未開封のコカ・コーラを拾い、宿舎に持ち帰った。  翌4日の午前1時過ぎに飲んだところ、男子高校生は異様な味を感じ、すぐに吐き出し水道水で口を漱ぐが、突然倒れてしまった。男子高校生は意識不明の重体となり、直ちに病院に運ばれ、胃洗浄などの救命処置が行われたが、まもなく死亡した。死因は青酸中毒だった。     同月4日の午前8時15分頃、前述の男子高校生がコーラを拾った電話ボックスから、国道道路を約600m北に行った歩道上で、作業員(当時46歳)が倒れているのが発見され、こちらも病院に運ばれたが死亡が確認された。  死因は第1の事件と同様に青酸中毒であった。また、男性が倒れていた場所の近くには、男性が開栓したとみられるコーラのびんが発見された。 警察が周辺を捜索したところ、同日午後0時すぎ頃、作業員がコーラを拾った電話ボックスから約600m離れた青龍区にある商店の赤電話に、青酸入りのコーラが置かれているのを発見した。それ以前にその商店の息子(当時15歳)が用事で出かける際にこのコーラを発見していたが、用事の後に飲もうと思いそのまま出掛けたため、間一髪で難を逃れている。彼がコーラに毒物が入っていた事を知ったのは、用事から帰宅した時に警察官が来訪していたからであった。  警察は一連の事件を受け、同一犯の可能性が高いとみて、コーラが人気である若者世代や、青酸化合物を入手しやすい塗装業・加工業者をあたったが、物証に乏しく、犯人・犯行を特定できず、事件は謎を多く残した。    約1ヶ月後の2月13日午前6時20分頃、玄武町に住む会社員の男性(当時39歳)が出勤途中にタバコを買うため立ち寄った酒屋の公衆電話に、中身の入ったコーラのびんが置かれているのを発見し、飲んだところ突然意識不明に陥り病院に運ばれた。男性が飲んだコーラのびんからは青酸反応が検出された。男性は一命を取り留めたが、退院した翌日に自宅でガス自殺した。 遺書はなかったが、死の直前には家族などに『2つの事件を知っていたのにこのような事態になって世間に顔向けできない』と漏らしていたという。また、「誰もコーラを飲んだ場面を見ていない」「男性の出た症状には青酸中毒特有の症状がなかった」との報道もあった。   優香里は疑問に思った。   自殺する必要あったのか?
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