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ここは不思議の町、皆星町。
そして今日は、雨の精霊わたあめ姫のお誕生日である。
「ぶっひぶーすでぃー、ぶっひー♪」
鼻歌を歌いながら通りをプリプリと行くのはこぶたのチャーコ。人間のケイとハチに(食用として)飼われてるキュートでシュールな仔豚だ。
「お歌の練習もばっちりプギ。わたあめ姫に『チャーコちゃん、上手ふわ』って言われちゃうかもー♪」
わたあめ姫は、優しくて可愛くてふわわんとしてる町のアイドル。もちろんチャーコもわたあめ姫にゾッコンである。
「あとはこのぷれれんとの仕上げだけプギ。わたあめ姫、喜んでくれるかなー♪」
チャーコは首から下げた小さなポシェットをチョンとヒズメで触った。どうやらこの中にプレゼントが入っている模様。さて仕上げとは……。
「ついたプギ。あーそーぼ、清水画伯ー」
玄関ドアをヒズメでコンコン叩き、チャーコは声を張り上げた。
「……コラ。なんでワシがコブタなんぞに遊びの誘いを受けなきゃならんのだ」
心底イヤそうな顔で玄関を開けたのは、皆星町の誉、天才画家ホマレーヌ・清水。こう見えて彼は、その世界では巨匠と呼ばれるお方なのだ。
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