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実行委員室の扉を開けると、鶴元は机に突っ伏して、じっと動かなかった。
山本は恐る恐る近づき、鶴元の顔を覗き込んだ。
眠っているようだ。
昼間とはまた違った鶴元の寝顔は、あどけない幼女のようであり、色白の無垢な寝顔がそこにあった。
山本はしばらくその寝顔を見ていた。というか、見惚れていた。
次の瞬間、鶴元の身体がビクっと脈打ったので、山本は心臓が飛び出るくらい驚き、数歩後ろへ後ずさった。ドキドキが治まる間もなく、後ろから声が聞こえた。
「山本さん…そんなにレディの寝顔を見ちゃいけないなー」
突然かけられたその声にも同じように驚き振り返ると、坂田がニヤニヤしながら立っていた。
「坂田君…いつからそこにいたの?」
「いや、たった今です。そんなことより…傘が足りないんですって?」
坂田は淡々と言った。
「そうなんだよ。近くの駅やデパート、百貨店をくまなく回ったんだけど、あと50本ほど…」
山本はげんなりしながら答えた。
「あと50本…。分かりました。僕が何とかしましょう」
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