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出会い
次の日、山本は自分の借りているアパートへ戻った。
しかし戻ったところで、何かするべきこともなく、結局は家でごろごろしていた。今日も昨日のように空しい1日が続くと思うと、自然と憂鬱な気分になった。
その日は昼近くになっても気温は上がらず、彼はソファー上で毛布に包まりながら、テレビに映し出される映像を見つめていた。
半日をそうやってソファーの上で過ごしたあと、彼はおもむろに起き上がり、とりあえず本屋へと向かうべく、安物のダウンジャケット羽織った。
平日、正月明けの本屋は空いており、彼はいつもの雑誌コーナーで足を止めた。とは言っても、雑誌はいつもとさほど変わりはなく、一応物色してみるものの、彼の興味を引くような物は見当たらなかった。
彼は店内をぐるぐる回り始めた。
決して広くはない店内だ。数分あれば大方のコーナーを歩き回ることができる。彼は棚に並べられた本を眺めながら、ぶらぶらと歩き回った。
もう帰ろうか。そう思った矢先、彼は一冊の本の前で足を止めた。
彼が今まで一度も見たことのない芸術のコーナー。そこで彼は1冊の本を手にした。
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