役立たず

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 年が明け、新年が始まっても、山本は暗雲の中にいた。  家族に大学生活のことやこれからのことを聞かれても、心ここにあらず。  適当に返事をしては会話を打ち切っていた。  じっとしてても答えなんて見つかるわけがない。  そのことは、山本自身もよく分かっていたが、何をしてよいのかすら分からないまま、実家での日々を過ごしていた。  アパートへ帰る前日、地元の友達に誘われ初詣に出かけた。  子供の頃からいつも正月になれば出掛けていた神社で、鳥居から本堂まで100m程度の神社だった。  鳥居をくぐると妙に懐かしい感じがした。心は暗雲でも、懐かしい思い出の場所へ行くと少し心が和んだ。  山本たちは神社に参拝したあと、おみくじを引いた。  200円をバイトの巫女さんに渡し、たくさんのおみくじの中から1つを選ぶ。山本は迷うことなく、一番上にあったおみくじを引いて、中を確かめた。  大吉だった。 「願いごと」の欄には、「苦労あれど、必ず叶う」と書かれてあった。  おみくじには小さなお守りがついており、山本は半信半疑でお守りをポケットに入れた。
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