♯2 拘束

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『グスタフは私の部下だが、実に優秀な男だ。ミズキと年も近い。彼と仲良くやり、おまえの目で外の世界を見てきなさい。おまえにもそろそろ友達が必要だ』  アルベルトが「優秀」と評するだけあって、彼の観測は正確だった。  何もない雪原に隠されたトラップ、敵の配置などにも熟知していて、ここにくるまで恐ろしいほど平和的だった。このまま順調に行けば、早々に任務を完了できるだろう。  そんなグスタフはなにやら困惑気味に「んー……」と唸っていたが、ややあってミズキに「難しいぞ」と返してきた。 「難しい? グスタフ、どんな感じなの」 「鉄条網の隙間、かなり狭いぞ。タバコの箱よりも狭い。こんな細けえ柵、よく作ったもんだ。抜くしかないな。ついでにそばに監視カメラがある。カメラの向きにも気をつけないとバレるぞ」 「……精密射撃、か」  下手に撃って、柵に弾丸が弾かれでもしたら、即座に相手は狙撃を警戒し、周辺の警備を厳しくしてくるだろう。 「困ったな……」 「困った? マジか、ミズキ」  グスタフがおかしそうに笑う。 「珍しい、スーパースナイパーのミズキさんでも困ることあるんだ?」 「あるよ。僕は超人ではないんだから」 「だっておまえ、その目は両目が利き(マスターアイ)だって聞いたぜ。正直、観測手(スポッター)いなくてもなんとかなるんじゃね?」     
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