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しかし、民衆も疲弊し、弾薬も尽きつつある国家情勢の中、クラリスの牙城を崩す決定打は依然としてなく、大軍を率いて逆襲することは事実上不可能だった。
こうなると作戦としての選択肢は、よりコンパクトで大きな打撃を与えられる隠密作戦となる。
その狼煙となるのが、ミズキとグスタフによる、この狙撃作戦だった。
作戦立案はグスタフで、すでに収容所の周囲には、グスタフが手配した外人傭兵特殊部隊が待機している。
金でしか動かない兵士など、クラリス軍はさしたる問題とは見ていないようだ。
そもそも周辺国ですら、クラリスの快進撃に、無視を決め込んでいるのが現状だ。それほどまでにクラリス軍は強大な力をつけていた。
とはいえ、ディスタンシアとしては、国土の制御権を何とかして取り戻さなければいけない。
ディスタンシア国内に点在しているクラリス軍の収容所をすべて襲撃し、捕虜となっている国民や軍人を全員解放する。
収容所はクラリス軍の重要な資金源にもなっているらしいが、収容者に強制労働をさせたところで「重要な」と付くほどの潤沢な資金が稼げるのかというのははなはだ疑問だ。
とはいえ、収容所にどうやらその秘密があるらしい話も聞いている。
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