♯2 拘束

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「誰がそんなことを。人を機械みたいに……」  からかうグスタフに、ミズキはぷうっと頬を膨らませた。 「両目マスターアイとかマンガの読み過ぎだよ。僕はグスタフがいなくちゃ、何にも出来ないんだから」 「ははは、言えてる。お前、末っ子って感じするもんな。兄弟は何人だ?」 「いないよ。僕はひとり」  グスタフが意外だと言いたげに目を丸くした。 「一人っ子か。どおりでのんびりしてるのか。そんなのでよく親が軍に入るのを許したな」 「グスタフはどうして軍人になったの?」 「俺はケンカばっかりしてたからな。そんなにケンカが好きなら、軍で思い切り暴れて来いって放り込まれたんだ」 「グスタフ、暴れん坊だったの?」 「おう!」  グスタフはそう言うと、ぐっと親指を立てた。 「言っとくけど、俺、強えぞ」 「そうなんだ」 「まあな。ただ俺は、軍に入ってからもずっと勝てない相手がいる」 「グスタフでも勝てない相手がいるの? 教官?」 「違う」  グスタフはそう言うと肩をすくめた。 「母ちゃんと姉貴。ガチで殴りにいっても、あの二人にはどうしても勝てないんだ。軍事教練とかすげえがんばって、身体を鍛えたのに、俺は未だに投げ飛ばされる。女は半端ねえぞ。ミズキも気をつけろ」     
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