♯2 拘束

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 寒さでなく、グスタフにとっては本気で恐怖の対象であるようだ。しっかりしてそうなパートナーの意外な一面に、ミズキは声を殺してくすくす笑う。 「そんなに笑うなよ。姉貴ら本当に強いんだ。でもミズキだってすげえ成果あげたんだろ? それもひとりで」 「そりゃ軍人なんだもん。ちゃんと成果を上げて、自軍に貢献しないといけないだろ?」 「なんでひとりだったんだ?」 「僕に君のような仲間はいなかったし。それに……」 「それに? なんだよ」 「せめて僕は、あの国の『軍人』でいたいんだ」  押し殺した声で呻くようにこぼすと、グスタフが半ば呆れたようにため息をつく。 「お前、軍人であることにこだわるねえ。軍人は軍人以外、他のものにはなれないだろう? なんでそんなにこだわる? 地位か? 名誉か?」 「グスタフ、ほらそろそろ僕達の仕事をしよう?」  一方的に会話を遮断し、ミズキはまたライフルを構えなおした。  スコープの先、鉄条網の網の目の間に弾丸をくぐらせ、相手の頭にヒットさせなければならない。  狙撃の難易度が格段に上がってしまったなと、ミズキはチッと舌打ちをこぼす。  クラリスの兵士たちは、タバコを吸いながら談笑している。張り詰めた戦場における、わずかな安息、のんびり一服中と言ったところか。     
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