♯2 拘束

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 しかし彼らはあと数秒の後、ミズキに頭を吹き飛ばされる。ミズキ自身は彼らに恨みなどないが、これも戦争、皮肉な運命のめぐりあわせと諦めてもらうほかない。  いちいち命の大切さなど意識していては任務をこなせない。自分は心などない、ただの殺戮機械(キラーマシーン)だと言い聞かせる。   心がなければ、罪悪感など感じない。戦場では感情など邪魔だけだ。  一思いにあの世へ送ってやることが、ミズキのせめてもの情けだ。 「ミズキは右側を殺れ。俺は左側の男を殺る」 「オーケー」  幸いにして風はターゲットに向かってまっすぐ追い風だ。着弾地点までの距離は、グスタフの観測によると五二〇メートルほど。  弾は風に乗って速度と飛距離を伸ばすだろう。その分も計算に入れ、ミズキはゆっくりと照準を合わせた。  息を合わせ、正確に――撃つ。 「ならばカウント3で同時に始末だ。いいねグスタフ」 「よし、スリー、ツー……ん?」  グスタフがスコープから目を離した。 「グスタフ?」  ミズキが怪訝そうな声を出すと、グスタフはチッと舌打ちした。 「予定外のゲストが現れたぞ」 「予定外? ひとりくらい増えたって変わらないさ。二人同時に殺って、最後があわくってる間に仕留めればいい」 「そう気色ばむな。まずは確認しよう」  グスタフが双眼鏡を覗き込む。 「……なんだあいつは」 「どうしたのグスタフ」     
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