♯2 拘束

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「……斥候が持ち帰った資料にない顔だ。いったいあれは誰なんだ。ミズキ、スコープであれを視認できるか」  グスタフに言われ、ミズキもスコープで予定外に現れた人物の姿を追う。背筋をきちんと伸ばし、すらりと背が高いが、ダイヤモンドダストが吹くこの状況ではそれ以外の確認が難しい。  その人物もまたオーバーコートに身を包んでいたが、一般の兵士と違い、こちらは黒い生地のコートに同じ素材のグローブをつけていた。光沢があるような気がする。素材はおそらくレザーか。  並の兵士と比べると、予定外の人物は明らかに上質なものを身につけている。左腕にキラリと光るものが見えた。クラリス軍の階級章の様にも見えるが、雪と光の反射でその階級まではよく見えなかった。  ミズキたちが狙っている雑兵より少し上の階級なのか、それともとんでもなく高い位の人物なのか。  それによってはこの収容所を制圧するためのみならず、敵の情報を得るという点で利用価値があるかもしれない。  が、ひとたび狙撃を外せばすべてが終わる。  一撃を失敗し、相手が警戒態勢に入れば、雪に慣れたクラリス軍は、この周辺をくまなく、そして素早く捜索(クリアリング)してくるだろう。     
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