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「だけどなぜグスタフ、君は僕を裏切った?」
いつもはたったひとり。でも今回は仲間がいた。
冗談も家族のことも、道中いろんなことを話した。任務遂行も完璧に進んでいた。仲間と一緒にひとつのことを成し遂げるのがそれなりに楽しかったのに。
なのに、グスタフどうしてーー?
「君はディスタンシアのために、危険を承知でこの作戦を立案したんじゃないのか!」
「俺の命は俺のためにあるんだ。国のためなんかじゃない。あんな何もない薄汚い国に自分の命を懸けるなんて本気で思っていたのか?」
「君が配置した特殊部隊は!?」
「ちゃんといただろ。クラリスの特殊部隊がさ」
グスタフがせせら笑う。
「クラリス軍はミズキのことをかなり高く買っているようだぜ? 異色光彩の狙撃手はちょっとばかり有名になりすぎたのさ。まあおまえ、女が嫉妬するくらい綺麗な顔してるしな。せいぜい男どもに可愛がってもらえよ」
「……とんだプライベートフォースを呼んでくれたね、グスタフ」
クラリスの陣に最初から誘い込まれるように仕組まれていたなんて思いもしなかった。
狙撃手と観測手は信頼関係がないと成り立たない。
いや、昨日今日で組んだパートナーに信頼関係などあるかどうかも怪しい。
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