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別れ際、いつもの様に彼が言う
「今日はほんとにありがとう」
スキンシップの近い彼
彼の手の甲から薬指、小指にかけて
それらが彼女の左手小指の外側に触れたり離れたりを繰り返す
繋いでいいのか分からなくて
でも彼の温もりに触れたくて
きっと拒まず受け入れてくれる
そう思うけど、手を差し出す勇気が出ない
少しずつ縮まる二人の手の距離
そしてあったかい温もりに出会った
ダンスでも踊るかのように浅く
だけど力強く
繋がれた手の温もりが熱い...
何度もお礼を言ってマンションに帰って行く彼
彼の愛する妻と娘が眠る部屋
離れてしまった手がまだジンジンする...
一度も振り返る事なく、彼はポケットから鍵を取り出し、エントランスの中へと消えた
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