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――そんなある日のこと。
お姫さまの元に、一人の男がやって来たのです。
その男は今までの人間とは違いました。
お姫さまの顔を見ても心を奪われず。
お姫さまの声を聴いても魂を奪われず。
しかし対照的に、その男の恰好はあまりにも貧相でした。
無論、そんな恰好の男などお姫さまは相手にしない――周りはそう思っておりました。
ですがお姫さまは今までの人とは違うその男に興味を持ちました。
「アナタは私が綺麗だと思わないのですか?」
「あなた様は大変お綺麗です。それこそこの世全ての宝物よりも。あなた様の美しさに抗える人間などいないでしょう」
「なのに、アナタは私とこうしてお話出来るのは何故?」
「私は光り輝く宝物に興味が無いからです」
その男の言葉に、お姫さまはますます惹かれていきました。
なんて方なのでしょう……ッ、私の言葉をちゃんと聞いてくださるなんて!
そうだわ、この方のお力を借りて、周りの方々を説得してもらいましょう!
そうすれば、私を周りの人達と同じに扱ってくれるはず。
私に……“お友達”が、出来るはず――!
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