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――私は眠り続ける。
眠り続けているから、私はここを動くことが出来ない。
その代わり、私は夢を見ることが出来る。
しかし、ただの一度も同じ夢を見たことが無い。
――たった今、私はとても楽しい夢を見た。とても、とても楽しい夢を。
まるで幻想の世界に紛れ込んだかのような、素敵な夢を。
見渡す限り美しい自然が。
綺麗な花に、良い匂いが。
そして隣には一人の殿方が――名はリオと言ったっけ。
あの方は今まで夢の中で出会った方とは違った。私に魅了されなかった。
今まで出会った方は私に魅了されて、私のことばかりの言っていたけど、あの方は私よりも自然のことを優先していた。
だから、あの方だけは違う――またお話したいと思ってしまう。
……でも、それは叶わぬ夢だってことは分かっている。
だって、夢は一度きりのものなのですから。
同じ夢を見ることは叶わないのですから。
でも……もし、可能であれば。許されるのであれば。
もう一度、あのお方とお話をしたい……またあの世界で歩いてみたい。
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