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その言葉に、リオは耳を疑った――今までそのようなことをしてくる女性はいなかったからだ。
何故そのようなことを――と言おうとした矢先に、女性が言う。
「リオ様は、ただどうするか、と聞かされていたようですが、実は違います。このお話――私とリオ様が結婚すると言うのは、実は既に進められているのです」
「……どういうこと、でしょうか?」
「端的に申し上げれば、リオ様に拒否権はない、と言うことでしょうか」
ニヤリと笑うその不敵な笑みを浮かべる女性に、リオは理解が出来ない。
拒否権がない? ――何故だ?
「詳しくは申し上げられませんが、私の国とそちらの国での利害が一致したと言うことです」
「利害が……一致……?」
それはつまり――この見合いが始まる前から既に結果は見えていたと言うことだ。
何も知らない自分は、ただ今回も『断る』つもりでいた。
でも相手はその『断る』を『断る』のだ。
……いや、最初から自分に拒否権は無かった、と言った。
であれば、今回の見合い――その結果を決めたのは、リオの父親――この国の王と言うことになる。
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