第一章 夢の世界で

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  ■■■ 「――という訳でこのお話は無かったことに……」  目の前にいる女性にそう言いながら、リオはわざとらしく悲しそうな表情をする。  このように“嘘”をついて断るのは、一体何度目だろうか。  ――――……。  女性が部屋を出てから、リオは大きなため息を吐いた。 「ああ、何故このようなことをしなければいけないんだ……」  先ほどまでこの部屋にいた女性は、リオの“見合い相手”だ。  先日十八の誕生日を迎えてからと言うもの、今日までリオは見合いの連続だった。  それはリオが一国の王子であるが故のこと。  十八と言う立派な大人の仲間入りを果たしたからには、妻を娶らなければいけないのだと。  なるほど、疫病や病で突然死んでしまわない為に、サッサと結婚しろと言うことか。  それで王族の血は保たれる――理屈は分かる。  だが“結婚”と言うのは本来、互いが愛し愛された関係の男女が結ばれる儀式のはず。  なのに、自分は愛する人とは結婚出来ない。  それに、自分と結婚したいと思ってくる女性は全て――『権力』が欲しいだけの生き物ばかりだ。
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