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(あの男の・・・・・・言ってたことって・・・・・・?)
少女は言い直す。
「この辺の地理に詳しい」
[ギクッ]と、その言葉を聞いて女の子は、あの兵士を思い出し身体が萎縮した。
その問いに答える前に女の子は確認したかった。
「あ・・・・・・あの兵隊は・・・・・・あなたが・・・・・・」
「その・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
少女は答える。
「ああ、邪魔なんで消えてもらった。」
「きえて・・・・・・もらったって・・・・・・」
女の子の思考は停止状態に近かった。
自分がどんなに懇願しても、あの兵隊は止めなかった。
自分がどんなに抵抗しても、あの兵隊は止めなかった。
更に事態を悪化させ、自分に「死」を・・・・・・
だが、どうやったのかは知らないが、この少女のおかげで彼は消えてくれたのだ。
女の子の目から大量の涙がこぼれ出す。
嗚咽し、拭っても拭っても涙は止まらない。
「死」から「生」への歓喜なのであろうか?
そしてこの少女への、感謝の涙。
「詳しいのか?」
そんなことはお構い無しに少女は尋ねてくる。
「ええっ、ええっ、知っています、知っていますとも」
「だって、私が生まれ育った街ですもの」
女の子は少女に、目一杯の笑顔で答えた。
が、・・・・・・
女の子の表情は一瞬で豹変した。
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