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兵士は自分に何が起きたのか分からなかった。
意識が戻った時には顔面に激痛を感じ、のた打ち回った。
「おごおおおおおおおおおおおおおっ」
「いでぇいでぇよおおおおおおおおっ」
手で顔を覆ったが、ヌルッとしたもので溢れていた。
「!!」
「ち血がうひょおおおおおっ」
「ぐぞうぅ、歯があああああっ、歯がぁあああああああああああっ」
「ぢぐぢょおおおおおおおおっ」
歯が折れて無いので、うまくしゃべれない。
頭の奥がグワン、グワンして目が回る。
右手にガバメントが握られているのは確認できた。
初弾は発射されていて、撃鉄は発射された反動でまた上がっている。
兵士は兎に角考える。
「たしか・・・・・・イッた時・・・・・・あの女の頭に・・・・・・」
記憶が飛んでいるらしく、思い出せない。
「うううっ、いったい何が、どうなっちまったんだ・・・・・・」
ふら付きながらも、何とか廃墟から出て、警戒した。
出た十メートル先ぐらいに、殺したはずの女の子が、自分を見て悲鳴を上げているのが見えた。
「!」
「なっ何だ?あのガキ死んだんじゃ・・・・・・!?」
それとは別に、兵士は異様な違和感を感じた。
さっきまで居なかった人物。
子供?が、女の子の前に立っていた。
それは全身黒ずくめで、異様な姿をしている。
「何だ奴は?さっきはあんなガキ居なかったろ・・・・・・・いや女・・・・・・の子だ」
「身体は貧相だが、スカートを穿いているし、・・・・・・奴の友達?知り合いか?」
兵士はガバメントを上下左右に振って、自分を襲った奴がいないか確認した。
「ひっ、ひっ!」
彼はビビッていた。
自分は仲間の間でもガタイはでかく、兵士としての身体能力は高く評価されてきた。
だが、不覚とはいえ、敵の姿を見ることもなく、一瞬で、のされてしまったのだ。
そんな相手が近くに居る・・・・・・どこだ・・・・・・どこだ・・・・・・
兵士の緊張は爆発寸前だ。
「あんなにダメージを与えたのに、銃は握っていられたのか」
「ひいいっ!」
不意に近くから声がしたので、兵士は奇声を上げてしまった。
その方向に銃を向ける。
向けた方向に、黒ずくめの、さっきのガキがこちらを見ている。
深くフード(猫耳付き?)を被っているので表情は見えないが、口だけは見えている。
その口が動いた。
「少し褒めてやる」
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