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考えるべきだった。
頭に血が上る前に。
兵士は咆哮し、訳も分からない声を発して、少女に襲いかかった。
「ぬおおおおおおおんっ」
「ばがにぃぢやがっでぇえええええええっ」
「ごろず―――――つっ!!」
[グシャッ!]と、殴られ、少女の顔が潰される音が、する筈だった。
だが、硬い石の地面に叩きつけられ[グシャッ!]と音をさせたのは
兵士の顔面だった。
そのまま顔面を軸に、大きく身体が振り子のように[弧]を描き、壁に叩きつけられた 。
「ぎっひんっ!!」
兵士の身体は逆さまのまま背中から壁にめり込み、足がダランと開いた。
尻の穴と、モノの筋までもが、えげつなく晒し者になっている。
女の子は、今度は目を逸らすことなく見ていた。
今起きた一部始終を。
兵士が咆哮して、少女に襲いかかった。
全体重を乗せた拳が少女の顔を捉えた―――かに思えた刹那。
少女は紙一重で、それをかわし、その腕を取り、スピードを殺さず下に方向転換させた。
その時、同時に少女は兵士の軸足を蹴り、兵士を空中に浮かせ、兵士の腕は掴んだままなので
体重とスピードが落ちることなく、顔面から着地、そのまま腕を放したら、遠心力が働き
後はご覧の通りである。
今度は動かず、白目を向いてる兵士をよそに、呆気に囚われている女の子の傍に行き、さっきの質問をする少女。
「詳しいのか?」
激しく相槌をする女の子だった。
程よく時間が過ぎた頃。
逆さに壁にめり込んだ兵士の身体がゆっくり動き、立ち上がる。
兵士の顔はグシャグシャになっていた。
目だけは爛々と光り、前歯がないため、奥歯だけで歯軋りをした。
そして、咽喉の奥から呪いの声を発した。
「しゅううう~」
「ふしゅるる~っ」
「ごろじゅうぅぅ~!」
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