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フランス北部、某街に続く街道。
そこは戦場の痕が色濃く剥き出していた。青蒼く茂った草花も、甘い実を宿した木々も
砲弾と銃火器によって破壊され、あるのは重油の香りを残した戦車や車両の残骸だけ、
無論。車両の辺りを覗けば、その主たちは、葬られもせず朽ちている。
そんな中を車両が一台、連合軍のジープよりも少し大きめの、M3スカウトカーが疾走していた。
前に二人、後ろの荷台に二人。
前の二人のうち一人は、タバコを吸いながら運転をしている男の兵士だ、肩にトンプソン短機関銃を提げていた。
若いのだろうが、それなりの経験を積んだ面をしている。
その隣の助手席には、漆黒のポンチョフード(フードは猫耳風になってる?)を被った
子供・・・・・・いや、女の子が座っている。
フードを深く被っているので、顔を見ることはできない。
短い黒いスカートの中から、白くスラリと伸びた足に軍靴?に短ゲートルをつけていた。
肩から革のバックを提げている。
「こんなところに何で女の子が?」と思うより、かなり「異質」な気配が
その女の子には漂っている。
今思えば本当に問題だったのは「彼女の方」だったのだろう。
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