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銃をこめかみから放さない少女に、畳み掛けるように質問をした。
「そっその銃。ルガーだろ?」
「何処で拾った?」
ダニエルは少女の気を逸らすためもあったが、本気で気になった。
彼ら兵士の間では、美術価値もあり高値で取引されたいた戦利品だったからだ。
「まさかナチ野郎から、殺して奪ったわけじゃないんだろ?」
その時初めて少女の表情に感情らしきものが見えた。勿論。睨まれているのだが。
フードの陰で表情までは見えない、口が「ム」の字になっている。
本当に引き金を引きそうだったので、すかさず
「あ~っ俺にはそんなの関係ないわな~」
「関係ない――関係ない――っ」
片手でハンドルを握りながらもう一方の手は「降参のポーズ」をした
そんな兵士の表情を真顔に変えたのは、煙を上げた街が前方に見えてきたからだ。
「どうやらあんたの目的地に着いたぜ、お嬢ちゃん」
それを確認した少女は、ため息をつきながら残念そうにルガーを懐に収めた。
少女が降り立ったその街は、そのほとんどに戦いの痕が生々しく残っていた。
木はへし折れ、家も大きな建造物も半壊もしくは倒壊して道々に散乱している。
ところどころでまだ銃声が鳴り響き、人の焼け焦げた臭いが鼻につく
連合軍が「解放」した街だ。
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