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歩き出そうとした少女に、ドアを閉めながらダニエルが背中越しに声をかけた。
「忠告しとくが、ナチ野郎を押し返したとはいえ、前戦はすぐそこだ」
遠くで砲撃の音がする。
「ここも何時まで持つかわからねぇぜ」
無言のまま歩き出す少女
「長居はしねぇ方がいい、特に、いい女はよ」
荷台の方ではすでにアンダーソンが女と続きを始めている。
何時「死」が訪れるかもしれない彼、彼らにとっては、「今」が大切なのだろう。
と、その時、一陣の風が・・・・・・あたりに吹いた。
ダニエルは、その自分が見た光景に目を疑った。
あまりの衝撃で、あんぐり開いた口からタバコが落ちていく。彼は「驚愕」したのだ。
風により少女のフードがはだけ、中にあった黒く長い髪が風に舞う。
ゆっくり少女は振り返り、ダニエルを見る。
ゾクリと彼の全身に鳥肌が立った。
白い頬に、低く鼻筋は通り、暗く沈んだ目に、澄んだブルーの瞳。
ゆっくりと小さな胸が上下する。
哀れな目でダニエルを少女は見ていた。
ダニエルは思った。
この少女が似合う背景は何処であろう・・・・・・そう、決まっていた
人の住む世界ではないことは、ダニエルには分かった。
美しい少女なんて何処でも居る。
ダニエルはいい女を選んだことは間違ってはいない。
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