大人は嘘つき

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 その日、LCアカデミーの男性教員、ティオルラ・ターンナイトは学園内にある『多目的室3』にいた。  時刻は正午を過ぎて、午後半ば。既に、午後の授業は始まっている。『普通』の教員なら、現在は業務時間だ。もちろん、多少の小休憩は許されているが、彼は既に、この部屋で二時間ほど読書をしている。  授業は? という質問には、彼は今日は昼から受け持っていない、と答えるだろう。  では、他に仕事は? という質問はタブーだ。明らかにサボっているのだが、そのことを口にすると死ぬほど後悔するほどに罵詈雑言の毒舌の嵐だ。  だから、間違ってこの部屋に入った教員や生徒がそのことを尋ねることはない。むしろ、彼の褐色の肌が視界に入った瞬間、出て行くのが正しい行動だ。  そして、彼の恐ろしいところは、これだけサボっても彼が行わなければならない業務は何故か完璧に終わっていることだ。  では、もっと働けば――それは言わないことが命の保証にもなる。
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