そして伝説へ……

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 ここは幻夢界……魔族の住む場所である。空を闇が覆い、地上を怪物が跋扈している。  幻夢界を治めるのは、魔王ベルトサタン。強大な魔力を持ち、人間界への侵攻を狙っている。   ベルトサタンは城の中で玉座に座り、満足そうな表情を浮かべている。その前に控えているのは……ポカパマズ村の村長であるキノッピーであった。 「上手くいったようだな、キノッピーよ」  ベルトサタンは、愉快そうな口調で言った。するとキノッピーは、笑みを浮かべて頷く。 「人間という生き物は、他人との接触により自己を確認します。あの勇者オレッグとて、例外ではないのです。接触してくる人間がみな、お前は村人のセルゲイだと言えば、それに逆らう術はありません。今後、オレッグはセルゲイとして、ポカパマズ村で生きていくこととなるでしょう」 「闘わずして、オレッグは倒れた。生きながらにして、勇者は伝説と化したわけだな……キノッピーよ、お前も悪だな」 「いえいえ、ベルトサタン様にはかないませんよ」
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