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ところが、そこで奇妙なことが起きる。
「い、いや……俺の名はオレッグだ。セルゲイじゃない」
オレッグの言葉に、村人はきょとんとした表情になる。
「あれ、違うのか? でも、似てるなあ」
首を傾げながら、去って行く村人。オレッグもまた首を傾げた。そのセルゲイとは、いったい何者なのだろうか。
狐につままれたような気分で宿屋に行くオレッグ。だが、ここでも同じような言葉を投げ掛けられた。
「おや、セルゲイさんじゃないか! 今まで、どこ行ってたんだい!?」
ニコニコしながら、話しかけてくる宿屋の主人。オレッグは苦笑しながら首を振った。
「悪いけど、俺はセルゲイじゃない。オレッグだ」
その言葉に、主人は不思議そうに首を傾げた。
「あれ、違うの? でも似てるなあ」
翌日、村の周辺をのんびりと歩くオレッグ。すると、小さな男の子がパタパタと駆けて来た。
「セルゲイさん! 帰って来てくれたんだね!」
言いながら、オレッグに抱きついていく子供。
またかよ……そう思いながら、オレッグは昨日と同じようなセリフを返す。
「人違いだよ。俺はセルゲイじゃない」
「あれ、違うの? でも、似てるなあ」
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