3、アタシのことが見える人

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白い壁に囲まれた四角い部屋にぽつりとあるベッドと机を観察しながら、アタシは呆然とした。これは。  いや、違う。これは身辺整理と言ったものではない。 おそらく、元々この部屋には何もないのだ。 部屋の入り口で、アタシと同じくこの異様な部屋に見入る花梨は、アタシと目を合わせると物言いたげに眉をひそめた。 アタシは、この部屋を見て少し分かった気がした。 ねえ、花梨。アタシには来栖響を救うことはできないかもしれないよ。
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